北風と太陽のお話は介護の仕事の基本

「北風と太陽」という寓話をご存知でしょうか?
「旅人の上着を吹き飛ばそうと、北風が強く吹けば吹くほど、旅人は上着をしっかりと抱え込んでしまい、上着を脱がすことができません。しかし、太陽が旅人をポカポカと照らすと、温かくなり、旅人は自分から上着を脱ぎ始めました」という話ですが、この話には介護の仕事の大切な基本が含まれています。

事例を挙げてみましょう。
ある利用者Aさんがなかなか外出してくれません。
「リハビリになるから歩こう」と介護者が何度言っても出てくれませんでしたが、別の介護者が「Aさんの好きな写真を撮りに行きましょう」と声をかけたところ、ご自身の古いカメラを持ち出して外に出てもらえた、という事例があります。
この事例は、まさに北風と太陽そのままの事例といえます。

介護の仕事では、初めはなかなか心を開いてくれないどころか、厳しい言葉を投げかける利用者も残念ながらいます。
しかし丁寧に接し続けることで、ある日突然人が変わったかのように利用者が打ち解け、心を開いてくれるという事例はけっこう多いのです。
初めは、無表情であったり、つらくあたったりしてくる利用者の介護がつらかったりするのですが、心を開いてもらえた瞬間の嬉しさは、何物にも変えられないものがあります。
こうした経験を何度か繰り返していくと、その利用者が持つ「寂しさ」などが分かり、より早く心を開いてもらえるようになります。

「太陽となって人の心を温め、前向きな心と生き方をするお手伝いをする」ことができる介護の仕事って、最高におもしろく、温かいです。